アンのゆりかごを読んで

今はアンの青春を読んでいる最中なのですが、 

 

先日までは

アンのゆりかご 村岡花子の生涯 

 

を読んでいました 

お孫さんの村岡恵理氏が描いた評伝で、素晴らしい、本当に素晴らしい本だった 

我々が遠い昔のように感じる戦前の時代

(第二次世界大戦ではなく、第一次世界大戦である)明治26年 1893年から話は始まる 

 

自分はこの時代は遠い昔で 

教科書で見るだけの、白黒の世界のように感じていたんですが、 

この本を読むに事によって まるで自分がその時代を生きてきたような、

不思議な感覚に陥りました 

 

 

やはり、評伝は 

愛情を持って書くのが一番素晴らしいのだろうと思います 

村岡恵理氏は村岡花子氏の実のお孫さんですから 

 

やはり自分のルーツを探るような気持ちなのでしょうか

真摯に、村岡花子氏の足跡を辿っているし、丁寧に花子氏の気持ちに寄り添っているのが伝わってきて素晴らしかったです

 

この時代を知る非常に貴重な資料でもあるのですが、

資料としての中立な立場を守りながらも

同時に

花子が現実の人物のように生きて躍動する

はつらつとした物語のようでもあった

 

なんというか、司馬遷が記述した史記の如く

史上の人物の霊が書き手に乗り移って記述しているかのような

「想像的視覚を持った者でなければとうてい不能な記述」(中島 敦)

という感じでした

 

 

「高度経済成長期に生まれた私が 当然のように享受してきた 環境、制度、権利、あるいは、手を伸ばせば届くところにあったたくさんの良書が、母から祖母の世代に遡り、さらにもうひとつ遡った世代からの 

切実な祈りと 不屈の努力によって得られたものだと知りました」と恵理氏はあとがきで述べているが 

 

この文章こそ

この本を読んで感じる一番深い感動をズバリ言い表わしている!と思いました

この文章にはうなりました 

不屈の努力…かっこいい 

2度の世界大戦をくぐり抜けた命が運んだという感じがする

ロックンロールが生まれる前と言ってもいい 

ただ、これほどロックンロール!という感じがすることがほかにあろうか

素晴らしい、最高!